小笠原のキオク

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お昼過ぎに趣味で木工をなさっているご近所さんがお見えになりました。
手には黒い木のカタマリをお持ちになって。

「これ半分に切って貰えないかな?」
「構いませんよ」
「新年の挨拶に半分あげるよ」
「何の木ですか?」
「小笠原桑だよ」

以前小笠原に住む先輩から、小笠原には彼の地にしか自生しなくて
今ではもう希少な木があると聞いた記憶があります。

バンドソーで挽いただけなのに素晴らしい色艶なので、お聞きしたところ
戦前に挽いた木であると。一見埋もれ木のように黒褐色ですが、全体が
濃緑色でとても美しいです。
どういう変遷があったか知る由もありませんが、小笠原の木が戦争を超え
て僕の手元に来てくれたと思うと感慨深いものがあります。

家具に出来る程の量ではありませんが、要所で用いる事によって家具と
共にこの木にも素晴らしい表情を出してあげたいと思います。

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